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【毎日新聞掲載記事】緑の地球、次世代に 国連開発計画(UNDP)総裁ヘレン・クラークさん

2016年は、国連が定めた「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に向けた最初の年。世界には貧困や難民問題など国境を超えて取り組むべき共通の課題があり、森林の保護と再生もその一つだ。国連開発計画(UNDP)のヘレン・クラーク総裁(66)は「人間が破壊した自然の生態系を回復させ、次世代に緑豊かな地球を引き継ぐことは私たちの責任でもある」と呼びかける。【明珍美紀、写真も】

◇「日本の経験伝えて」

「私たち人間が生きるには、太陽や水、空気が不可欠です。持続可能な開発とは環境を損なわない範囲で自然の資源を利用し、社会を発展させること」とクラーク総裁は語る。最貧層の生活水準の向上を目指せば南北間の格差の解消につながっていく。「そのためには先進国による途上国へのサポートが大切。特に日本は公害の発生や東日本大震災に伴う原発事故があり、その経験や再生可能エネルギーの技術を伝えてほしい」と強調する。

とはいえ自然の資源のなかでも、人間を含む生き物に大きな恵みをもたらす森林が危機に直面している。「アマゾンやコンゴ盆地などの熱帯雨林の劣化を食い止めるには、違法な森林伐採を阻止しなければならない」とクラーク総裁。周辺の住民が違法伐採に手を染めないよう農業支援や地場産業など地元に仕事をつくることも必要だ。UNDPが太陽光発電のプロジェクトを進めるアフリカのボツワナでは「電力の使用で女性が料理用のまき集めから解放され、むやみな森林の伐採が減った」という。
また、アブラヤシから採取するパーム油の増産が、森林破壊を引き起こしている現状があり、UNDPでは認証制度の普及を提唱する。「このパーム油には『原生林伐採ゼロの農園でつくられたもの』と示すラベルがある。それらのラベルを参考に買い物をする。市民の消費行動が企業を変えていく」
一方で、失われた森を回復させようと各地で木を植える活動が進むが、クラーク総裁はケニアのノーベル平和賞受賞者で、植林活動を推進した故ワンガリ・マータイさんの功績を胸に刻む。「国際会議などで発言する姿はとても頼もしかった。マータイさんの行動がケニアの女性たちの自立を促した」と振り返る。

クラーク総裁の父は、ニュージーランドのオークランド郊外で農業を営んでいた。「私は子どものころから畑の生き物や自然に親しんでいた。その経験が環境問題への関心につながったように思う」
各国の女性たちが暮らしや平等の権利を守るために協力する。環境活動家や若者たちがネットワークをつくる。「そうした国を超えた市民同士の連携が社会をよりよい方向に導く原動力になる」と言葉に力を込めた。


■人物略歴
◇Helen Clark
1950年、ニュージーランド・ハミルトン生まれ。99年に同国では初の選挙で選ばれた女性首相に就任し3期約9年間務めた。2009年、UNDP初の女性総裁となり現在2期目。

MOTTAINAIエコバッグを手にするクラークさん

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