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ワンガリ・マータイさんのノーベル平和賞受賞20周年祝典がケニア・ナイロビで開催されました

ワンガリ・マータイさんのノーベル平和賞受賞20周年を記念する祝典会場

MOTTAINAIキャンペーンを提唱したワンガリ・マータイさんのノーベル平和賞受賞20周年を記念する祝典が12月10日、ケニアの首都・ナイロビで開かれ、国内外から集まった約300人がその功績や今も続く影響力の大きさ、永続的な精神の強さを改めて確認しました。

「この祝典を新世代につなげる会に」
主催したのは、マータイさんが1977年にケニアで立ち上げた「グリーンベルト運動」と「ワンガリ・マータイファウンデーション」です。MOTTAINAIキャンペーン事務局長に届いた招待状には次のような言葉が記されていました。
「2004年にマータイさんがノーベル平和賞を受賞した時、歴史は刻まれました。彼女はアフリカ人女性として初めて、環境保護活動家としても初めて、世界で最も権威ある栄誉を受けた人物となりました。そのレガシーは今も世界中で人々を鼓舞し、行動を起こさせ続けています。大胆で思いやりのあるリーダーシップが根深いシステムさえも変革しうることを思い知らせてくれています。この式典を公正で持続可能な世界というビジョンを新世代につなげる会にしましょう」

「彼女の声は時代を超えて今も切実で、生き生きとしています」
祝典はナイロビ市内にあるレストランのガーデンで陽が落ちる前に始まりました。アフリカのデザイナーによるファッションショーやバンド演奏など、華やかな雰囲気のスタートでした。会場にはマータイさんの等身大の写真が飾られ、記念写真を撮る人たちの列ができました。各テーブルには「ワンガリ・マータイ・ローズ」と名付けられた淡い色合いのバラが飾られ、彩りを添えていました。

会場の各テーブルには「ワンガリ・マータイ・ローズ」が飾られていた

緑に囲まれた会場が漆黒の闇に包まれた時、ノーベル平和賞受賞時のマータイさんの力強い演説の動画が流れ、祝典が開始されました。挨拶に立った長女、ワンジラさんは「彼女の声は時代を超えて今も切実で、生き生きとしています」と少し声を詰まらせながら話し出した後、ステージ横に置かれた車のことを紹介しました。マータイさんのかつての愛車「ベッツィ」です。1969年製造のフォルクスワーゲン「ビートル」で、1977年以降はマータイさんが友人に使ってもらっていましたが、40年後に役目を終えて戻ってきたとのことで、今も現役として走行できるという話でした。ワンジラさんは「この車をここに連れてきたのは、家族、回復力、友情、寛大さの象徴だからです。だから皆さん、ベッツィに触ってください。ベッツィは拍手を受けるに値します。」と呼びかけると、会場からは大きな拍手が贈られました。

マータイさんの愛車「ベッツィ」

最初にスピーチの指名を受けたのは毎日新聞社の高木諭・MOTTAINAIキャンペーン事務局長でした。日本でのマータイさんの写真を映し出したスライドを使いながら、マータイさんと「もったいない」との出逢いや各地で大歓迎されるマータイさんの様子、マータイさん亡き後も続くキャンペーンの取り組みについて、説明しました。

MOTTAINAIキャンペーンの取り組みを説明する高木諭事務局長

駐ケニア日本大使「彼女の勇気が私たちを鼓舞」
グリーンベルト運動の関係者や支援団体、マータイさんの古くからの友人、遺志を引き継ぐ環境活動家たちに続いて、駐ケニア日本大使館の松浦博司大使も登壇し、マータイさんと日本、「MOTTAINAI」との関わりについて話しました。約10分にわたるスピーチを松浦大使は次のように結びました。
「 彼女の勇気が私たちの行動を鼓舞し、彼女の知恵が私たちの決定の道標となり、彼女の精神が私たち一人ひとりに、より平和で、持続可能で、思いやりのある世界を創る力と、そして責任があることを思い出させてくれますように」

マータイさんと日本、そして「MOTTAINAI」との関わりについてスピーチした松浦博司大使

最後は司会者が各テーブルを回り、それぞれの思いを話してもらいました。誰もがマータイさんの功績や影響力の大きさを讃えるとともに、彼女の遺志を今後も引き継いでいく決意を語っていました。
司会者が終宴を告げた時、それを待っていたかのように漆黒の空からポツポツと雨が落ちてきました。まるで、奇跡のような夜でした。

※祝典の様子は「ワンガリ・マータイファウンデーション」のSNSから視聴できます。
https://x.com/i/status/1999420089221701692

https://www.instagram.com/s/aGlnaGxpZ2h0OjE4MDQwMDk4MzQ0NzA1NTgx?story_media_id=3784663604541537317_2100706255&igsh=MXVmM3AxdGhhNzl6MQ==

※松浦大使のスピーチは駐ケニア日本大使館のホームページから日本語、英語、スワヒリ語で読むことができます。
(日本語) https://www.ke.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01537.html
(英語) https://www.ke.emb-japan.go.jp/itpr_en/11_000001_00006.html
(スワヒリ語) https://www.ke.emb-japan.go.jp/itpr_en/11_000001_00005.html

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