国際協力機構(JICA)と毎日新聞社は5月20日、熱帯林の保全策を議論するシンポジウム「地球の肺を守ろう」(後援:外務省、林野庁、宇宙航空研究開発機構、産業技術総合研究所、森林総合研究所、国際熱帯木材機関、協賛:住友林業、森から世界を変えるプラットフォーム)を東京都内で開催しました。赤道付近の広大な熱帯林は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収して酸素を大気に供給し、「地球の肺」とも呼ばれます。豊かな生態系に欠かせない世界の熱帯林を守るための方策を話し合いました。
環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが提唱した「MOTTAINAIキャンペーン」が今年で20年目になることを記念し、JICAと毎日新聞社が連携して開催しました。南米アマゾンやアフリカ大陸、アジアで熱帯林を抱えるコンゴ民主共和国、ブラジル、インドネシアの3カ国の関係者を招待。約120人が会場で聴講し、オンラインでも約200人が視聴しました。
冒頭の基調講演では、JICA専門家として林野庁からコンゴ民主共和国に派遣されている大仲幸作さんが登壇し、農地の拡大などで森林の減少が続くコンゴ盆地の現状を報告。「保全に向け適切な対応をしなければ、将来消滅してしまう」と訴えました。大仲さんは毎日新聞のニュースサイトやMOTTAINAIキャンペーン公式サイトに「『地球の肺』を守ろう」と題したコラムを約20回寄稿しています。この後に登壇した京都大大学院の北島薫教授(植物生態学)は「炭素の蓄積などを通して気候変動緩和に貢献し、生物多様性を育んできた」と熱帯林の役割を解説しました。
熱帯林の現状と課題を報告するコンゴ民主共和国の環境・持続可能開発省森林イベントリ整備局長のモーリス・マタンダさん
続いて第2部では、森林保護に携わる3カ国の政府関係者が順次発言しました。違法伐採や鉱山開発による森林の消失などのほか、日本をはじめ海外の政府や企業も協力して保全活動を進めている事例を紹介し、「2030年までに森林破壊をゼロにしたい」などと述べました。
第3部では、3カ国の政府関係者に京都大大学院の北島薫教授と住友林業執行役員の飯塚優子サステナビリティ推進部長、JICAの栗元優・地球環境部森林・自然環境グループ第2チーム課長を交えたパネルディスカッションが行われ、先住民を尊重して施策を進めることや、さらなる国際協力の必要性が指摘されました。モデレーターを務めたのは毎日新聞くらし科学環境部の大場あい副部長で、「熱帯林の保全について、人ごとではなく自分ごととして捉えることが必要」と語りかけました。
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