クローズアップ

新作「MOTTAINAIキッチン」は次へのステップ グロス監督に聞く【後編】

食品ロスをテーマにしたドキュメンタリー映画「0円キッチン」のダービド・グロス監督へのインタビュー。
後半では、映画作りのお話や、日本の方へのメッセージを中心にお話をお伺いしました。

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― 今回の映画製作資金の一部はクラウドファンディングで募ってらっしゃいます。クラウドファンディングは
欧米で発達した仕組みで、市民のためにいい映画を作るという手法にもなっています。

今回の映画をそのような仕組みで作ることについてどう思われますか?

今回のような映画ではクラウドファンディングの仕組みがふさわしいと思います。製作の自由を確保する意味
でも、この映画を応援してくれる人の出資を受けた方がやりやすいですし、ただお金を出してもらうだけでなく、
この映画を中心にコミュニティが出来ます。
出資してくれる方がこの映画と繋がっていると実感できますし、そこからどんどん人のつながりが出てくると
思います。

― 映画にはいろんな作り方があります。例えばマイケル・ムーア監督のように企業に突撃するような
ものも
ありますが、グロス監督の場合は「おいしく、楽しく、社会を変える」といった発想ですね。
そのような発想は
ご自身のどんなところから出てきたのでしょうか。

わたしがもともとそういう性格なのだと思います。私はムーア監督が好きですが、彼は自分に正直でストレート
です。監督自身が自分に素直なキャラクターを出すことが大事だと思います。あとは、ポジティブな空気を出す
作品にしたかったのです。お客さんが映画館を出たときに、前向きになれるような映画にしたかった。
そのほうがお客さんはすっとメッセージを受け取って、次のステップに進めると思うからです。

― グロス監督自身も料理が得意ですが、子どもの頃からお母さんのお手伝いをしていたのでしょうか。

母はすばらしい人ですが、あまり料理が得意ではありませんでした(笑)。冷凍食品をよく使っていましたね。
なので、よく祖母の家にいってご飯を食べることが多かったです。祖母はとても料理が上手でした。
祖母の家には大きな家庭菜園があって、野菜や果物を育てていました。ほかにも、日がたったパンを使って
お団子やデザートを作ってくれました。そんなふうに祖母はキッチンでもったいない精神を活かしていました。
わたしの料理スタイルは祖母のおかげだと思います。

― おばあさまの話が出ましたが、300年前の日本、江戸時代は循環型の社会と言われ、
少し不便ですが
食材や資源を無駄にしないという生活がありました。オーストリアでは昔は
どのような感じだったのでしょうか。


いい質問ですね。戦争を経験した祖母の世代は、もっと食べ物を大事にしていました。食べ物のありがたみを
肌で感じた世代で、学ぶところが多くあります。また、オーストリアの農村地にはまだ自然がたくさん残って
いますが、その地域に暮らす農家の方は数百年前から続く伝統的なスタイルで農業をしています。
彼らの生活の中にある料理法や食材の保存法には学べるところが多くあります。日本の田舎の農家にも同じ
ことがいえると思います。

― わたしたちは便利な時代に生きていますが、そのぶん、いろんなものを無駄にしています。
そういう社会を
変えるために映画をつくっていらっしゃると思いますが、映画を楽しみにしている
日本の方にメッセージを。


大事なのは、どこから食材が来たのか気にかけて、食べ物と自分のつながりを再認識することです。
消費社会・資本主義社会に暮らしていると、食べ物がどこから来たか見えにくくなってしまいます。
とても大きな問題だと思います。食材はスーパーマーケットで育ち、魚は切り身の状態で泳いでいると
思っている子どももいます。食べ物がどこから来るかを再発見して、自分とのつながりを認識してほしいです。
あとは料理を始めること!手作りの楽しみを知って、自分のためだけでなく、友達など、人のためにも料理を
ふるまってほしいです。喜びを分かち合うことができます。そういったところから一歩を踏み出し、少しずつ
社会を変えていけるのではないでしょうか。
もったいない精神の本当の意味を考えることも大事です。単に食べ物を大事にするだけでなく、命を大事に
すること。食べ物を頂くというのは単にそれがエネルギーに変わるというだけでなく、命を頂くということです。
だから食べ物を大事にするということは命を大事にするということ、人を大事にするということに繋がります。

― 「もったいない」というのは元々仏教から来た言葉ですが、単にものを大事にするというのではなく、
ものや事象に
込められた心を大事にするということだと思います。以前こちらに来られたときも、約800年前、
鎌倉時代の禅僧、
道元の「典座教訓」の中に、食材を大切にするという心が書いてあり、感激したと
おっしゃっていましたが重要なご指摘です。


― テーマは一作目も二作目も変わらないと思いますが、今回は日本各地のサステナブルな活動を
しているところを回り、
ライフスタイルを少し変えてみよう、といった提案もされるのでしょうか。

はい。単に「0円キッチン」日本版を作るのではなく、次のステップに進むための作品になります。もちろん
問題点も見せますが、具体的な解決策も提示します。食べ物の話だけでなく、サステナブルな生活とは何か、
もったいない精神とは何か、食べ物とその源である命とのつながりを見せていく。これが最終的な目標です。
単に残り物や食品廃棄物を使った料理を推進するのではなく、日本各地のいろんなよい取り組みを紹介して、
映画を見た人の生活が変わるような映画になればと思います。


インタビュー【前編】の記事はコチラ

★ダービド監督は現在、映画の製作資金をクラウドファンディング「MOTTAINAIもっと」で集めています。
詳しくは下記ページをご覧ください。
https://mottainai-motto.jp/project/detail/297

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