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地球の肺を守るために~コンゴ熱帯雨林保護の現場から(第1回)サステナビリティへの危惧強まるいま、具体的な行動を=大仲幸作

 はじめまして。私は今、コンゴ民主共和国の首都キンシャサで、このコラムを書いています。昨夜、当地では久し振りに強風を伴った激しい雨が降りました。亜熱帯気候に属するここキンシャサでは、短い乾季が終わりを告げ、これから約8カ月に及ぶ長い雨季が始まろうとしています。

 2018年10月、私は日本の農林水産省からコンゴ民主共和国の環境・持続可能開発省に、森林・気候変動担当の政策アドバイザーとして、国際協力機構(JICA)を通じて派遣されました。当地での支援活動は、コロナ禍の日本でのテレワーク期間を含めると、早くも3年間が経とうとしています。

写真1 環境省森林局の同僚と.jpg
筆者は今年2月、日本での約10か月に及ぶテレワークを経てコンゴ民主共和国に再赴任した。

 ところで皆さんは「コンゴ民主共和国」を知っていますか?

 コンゴはアフリカ第2の国土面積(日本の6倍以上)と約9000万人の人口を有する中部アフリカの大国です。しかし、長年にわたり内戦が続き、エボラ出血熱が幾度となく流行するなど、世界で最も多くの困難に直面している最貧困国の一つでもあります。

 そんなコンゴ民主共和国で、しかもこのコロナ禍に国際協力を行っていると聞いて驚かれる方も多いでしょう。今のこの時期に、なぜコンゴで、それも私のような環境分野の専門家が日本政府から派遣されて支援を行っているのでしょうか。それは「コンゴ盆地」と呼ばれているこのエリアには、南米アマゾンと共に、豊富な酸素を供給し、温室効果ガスである二酸化炭素を吸収する「地球の肺」と呼ばれている世界有数の熱帯林が広がり、その保全が国際的な急務となっているからです。

写真2 熱帯林伐採の現場にて.JPG
コンゴ民主共和国の木材はそのほとんどが違法・非公式に伐採されていると言われている。

 コンゴ盆地や南米アマゾンだけではありません。このコロナ禍で、2020年の世界全体の熱帯原生林の損失面積は減少するどころか、前年から1割以上も増加し、その結果、何と世界第3位のインドの年間排出量を上回る26億トンの温室効果ガスが排出されたことが判明しました(世界資源研究所、2021年)。今盛んに報道されているように、今年は北米やシベリア等での森林火災も史上最悪のレベルで発生し続けています。そうした中、この8月には地球の気温上昇が、パリ協定の目標ラインである「産業革命以降の気温上昇1.5度」に2040年頃までに到達してしまう可能性があると国連機関が報告書を通じて警告しました。

 今回のコロナ禍で、私たちは一体何を強く意識するようになったのでしょう。それは私たちの日常生活や経済活動の持続性(サステナビリティ)への危惧ではないでしょうか。そして、このことは米国、中国や日本を含む主要国、数えきれないほどの民間企業が脱炭素、すなわち温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする「ネットゼロ」を競って表明し、具体的な行動を始めたこととも全く無関係ではないでしょう。

 自然環境分野も例外ではありません。自然に基づく解決策(ネーチャー・ベースド・ソリューソンズ)の掛け声の下、深刻な減少に直面する熱帯林の保全や様々な開発行為によって破壊された生態系の再生に向けて、官民問わず、様々なイニシアチブが打ち上げられ、具体的な取り組みが始まっています。そんな中、こうした機運を後押しすることも念頭に、今月下旬からは気候変動に関する世界最大の国際会議、「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)」が、一年の延期を経て英国のグラスゴーで開催されます。

写真3 コンゴ民主共和国の首都キンシャサの街並み.jpg
キンシャサはラゴス、カイロと並ぶアフリカ有数の大都市、その人口は近郊エリアを含めると優に1000万人を超える。

 「サステナビリティ」...この言葉をキーワードに、これから約1年間、気候変動や生物多様性に関する国際的な議論からアフリカでの日々の国際協力活動まで、様々な切り口でタイムリーにコラムを投稿させていただき、地球の将来について、日本の読者の方々と一緒になって考えることができるきっかけを作っていきたい、そう考えています。どうぞよろしくお願いします!

(つづく)


大仲幸作(おおなか・こうさく)1999年に農林水産省入省。北海道森林管理局、在ケニア日本大使館、農水省国際経済課、マラウイ共和国環境省、林野庁海外林業協力室などを経て、2018年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザー(JICA専門家)としてコンゴ民主共和国環境省に勤務。

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